iPhone でスクリーンショットに書き込む
撮ったスクショに矢印を引いて、電話番号を隠して、送るまで。標準のマークアップでできることと、そこに無いもの(モザイク)と、黒く塗ったつもりが読めてしまう三つの理由。
やりたいことは、たいてい同じ形をしています。撮ったばかりのスクショが一枚あって、そのうちの一か所を相手に見てほしい。そして同じ画面のどこかに、相手に見せる必要のないものが写っている。通知に出ている電話番号、トーク一覧に並ぶ名前、振込完了画面の残高。矢印を一本引いて、そこを隠して、送る。かかる時間は三十秒で、けれど順番を間違えると、この三十秒はやり直しになります。
結論を先に書きます。iPhone の標準マークアップだけで「矢印を引く」「文字を入れる」「切り抜く」は全部できます。できないのはモザイクとぼかしで、標準にはその機能がありません。隠す手段は不透明な図形か太いマーカーで塗ることだけ、しかも塗り方をひとつ間違えると下の文字が読めたまま残ります。以下は、標準でどこまで行けるか、どこで足りなくなるか、そして足りない部分をどう埋めるかの順に書きます。
標準のマークアップでできること
サイドボタンと音量アップの同時押しでスクショを撮ると、左下にサムネイルが数秒だけ出ます。これをタップするとその場でマークアップに入ります。逃した場合は写真アプリでその一枚を開き、編集からマークアップのアイコンを選べば同じ画面になります。
- ペン、マーカー、鉛筆、消しゴム、なげなわ、そして直線や角度を引くための定規。
- プラスのボタンから、テキスト、署名、ルーペ、そして図形(四角、丸、吹き出し、矢印)。
- 色は色相の輪とスライダーから選べて、太さと不透明度も変えられます。
- 置いた図形やテキストは、確定するまで掴んで動かせます。
- 切り抜きと回転は、マークアップではなく編集画面の側にあります。
この範囲で足りる用途は実際に多く、道具を増やす前にまずここを使い切るのが正しい判断です。矢印を一本引いて送るだけなら、他のアプリを開く時間のほうが長い。
黒く塗ったつもりが読めてしまう三つの理由
標準にモザイクが無いので、多くの人は太いマーカーか黒い四角で塗ります。これ自体は間違いではありませんが、次の三つのうちどれかを踏むと、隠したことになりません。
- 不透明度が 100 パーセントになっていない。色を選ぶ画面には不透明度のスライダーがあり、そこが下がっていると、黒帯は黒帯に見えて実際には半透明です。受け取った側が明るさとコントラストを上げるだけで、下の文字は読めます。塗ったあとに一度だけ、その帯の上を指でこすってみて、下の輪郭がうっすら透けないか見てください。
- 図形がまだ動かせる状態のまま作業を終えている。マークアップ中の四角は独立したオブジェクトで、位置を直そうとして掴めば下が出ます。そのまま共有シートに渡すと平坦な画像になりますが、渡す前の画面で自分が動かしてしまい、ずれたまま保存してしまう事故は普通に起きます。
- 写真アプリの編集は、あとから取り消せることがある。写真アプリの編集は基本的に非破壊で、編集をもう一度開くと「元に戻す」が使える場合があります。共有した先のコピーは平坦化されているので相手が剥がせるわけではありませんが、あなたの端末の中では元の画像が消えていない、ということです。人に自分の iPhone を見せる場面では意味が変わります。挙動は OS の版で変わるので、一度自分の端末で確かめておく価値があります。
よく見かける対処に「加工した画像をもう一度スクショし直す」があります。これは平坦化としては有効で、実際に隠れているかを確かめる方法としても悪くありません。ただし画質は落ちますし、隠し方そのものが弱ければ平坦化しても弱いままです。順番としては、まず隠し方を強くして、確認のためだけに撮り直す、が正しい向きです。
隠す、指す、切り抜く、出す
この四つの順番には理由があります。隠すのを最初にやるのは、まだ初見の目で画像を見ているうちに済ませるためです。矢印を三本引いたあとで見直すと、目に入るのは自分が引いた線であって、その下にある電話番号ではありません。人が見落とすのは、たいてい自分の注釈の近くです。
- 写真から一枚選ぶ。撮った直後なら、サムネイルからそのまま入るほうが速い。
- 見せなくていいものを先に全部隠す。ステータスバーの時刻、通知バナー、トーク一覧の名前、隅に写った顔まで含めて。
- 見せたいものを一か所だけ指す。矢印一本、または四角ひとつ。
- 要らない部分を切り落とす。相手が見るのは残った部分だけなので、これは隠す作業の一部でもあります。
- 保存するか共有する。送る直前に、注釈込みでもう一度だけ全体を見る。
四本目の矢印を引きたくなったら、その画像はもう一枚ぶんの情報を持っています。詰め込むより二枚に分けたほうが、相手の読む時間は短くなります。手順を説明したいなら矢印ではなく番号を使ってください。矢印は「ここ」を運べますが、「その次」を運べません。
モザイクが要るとき
Marka は、標準に無いところだけを埋める小さなアプリです。隠す機能がツールバーの二番目にあって、しかもなぞって使います。電話番号の上を指でこすれば消える、という操作で、先に四角を描いてからメニューで方式を選ぶ必要はありません。方式はモザイク、ぼかし、塗りつぶしの三つで、強度のスライダーとブラシの太さが三段階。モザイクは無料で使えます。ぼかしと塗りつぶしは Pro です。この線引きは意図的で、「番号を隠して送る」という一往復だけなら無料のままで完結します。
起動すると最初に出るのは直近のスクリーンショットで、たいていそれが目的だからです。写真ライブラリに求める権限は「追加のみ」、つまり仕上げた画像を戻すためだけで、読み取りの権限は要求しません。元画像の選択は Apple 自身のピッカーが担当し、選んだ一枚だけがアプリに渡ります。出すときは写真に PNG で保存するか、共有シートに渡すかのどちらか。アップロードは一度も発生しません。送り先のサーバーがそもそも存在しないからです。ダウンロードは 2.4 MB、iOS と iPadOS は 17.0 以上で動きます。
ひとつ先に知っておいたほうがいいことがあります。Marka はライブラリではなくメモ用紙です。作業中の一枚だけを持っていて、閉じたあとに控えは残しません。作業の途中で他のアプリに切り替えるときは、先に保存してください。
線の太さと文字の大きさの話
iPhone のスクリーンショットは端末によって縦の画素数が違い、さらに古い画像や誰かから受け取った画像が混ざります。太さを画素数で決めている道具だと、大きい画像では髪の毛のような線になり、小さい画像では絵を飲み込みます。Marka の線幅と文字サイズは、どちらも画像の短辺に対する比率で決まります。だから 4K のスクショに引いた線も、小さな切り抜きに引いた線も、見た目の太さは同じになります。
文字サイズは線の太さとは切り離してあります。説明の文字がどれだけ大きいべきかと、矢印がどれだけ太いべきかは別の判断で、束ねると両方が調整しづらくなるからです。ワンタップで選べる三段階と、細かく決めるスライダーがあります。置いた文字は文字ツールを選んだ状態でタップすればそのまま編集でき、長押しして動かせます。
よくある質問
iPhone の標準マークアップにモザイクはありますか。
ありません。ペン、マーカー、鉛筆、テキスト、図形、署名、ルーペはありますが、モザイクやぼかしにあたる機能は用意されていません。標準だけで隠すなら、不透明度を 100 パーセントにした太いマーカーか、塗りつぶした四角を重ねることになります。
黒く塗った画像を送っても復元されませんか。
平坦化された一枚の画像として送られていて、しかもその帯が完全に不透明なら、剥がせるレイヤーはありません。問題になるのは不透明度が下がっている場合で、そのときは明るさを上げるだけで下が読めます。送る前に、隠した部分の上で画面の明るさを最大にして見るのがいちばん簡単な検算です。
置いた文字はあとから直せますか。
Marka では直せます。文字ツールを選んだ状態で、置いた文字をタップすればそのまま編集に戻り、長押しして位置を動かせます。Mac では選択ツールに切り替えてダブルクリックする方法もあります。
Marka の表示言語は何ですか。
このバージョンでは簡体字中国語です。インストールしてから気づくより先に書いておきます。ツールはアイコンで、作業はキャンバスの上で完結し、やることは隠す・指す・切り抜く・書き出すの四つなので操作は追えますが、日本語化された画面が必要なら、今のところこのアプリではありません。
加工した画像はどこに残りますか。
写真に保存すれば写真ライブラリに、共有シートに渡せば渡した先に残ります。アプリの中には残りません。Marka はメモ用紙であってライブラリではなく、閉じたあとに控えを持ちません。残したいものは閉じる前に保存してください。
無料でどこまでできますか。
画像を開く、切り抜く、回転と反転、モザイクブラシで隠す、100 段階の取り消し、そして書き出し。ここまでが無料です。矢印や文字などの注釈ツール、ぼかしと塗りつぶし、ステッカー、背景加工は Pro で、買い切りです。
Marka でやってみる
Marka は iPhone・iPad・Mac 用のスクリーンショット注釈アプリです。見せたくないところをなぞってモザイクにし、見せたいところに矢印を置き、手順に番号を振り、投稿先の比率に切り抜いて送る。処理はすべて端末内で完結し、アップロードもアカウントも計測もなく、ダウンロードは 2.4 MB。画像を開く・切り抜き・モザイクブラシ・書き出しは無料で、Pro は 3 機種共通の買い切りです。