Mac でスクリーンショットに注釈を入れる
クリップボードを軸にした手早いやり方。標準のスクリーンショット機能とプレビューでどこまでできるか、どこで足りなくなるか、そして Mac 版にだけある機微情報のスキャン。
Mac のこの作業には、iPhone と決定的に違う点がひとつあります。クリップボードです。撮る、貼る、書き込む、コピーして戻る。ファイルを一枚も作らずに一往復を終えられるので、慣れると十数秒で済みます。逆に、ファイルを保存して開いて書き出して削除する、という手順を踏んでいる人は、そこで毎回三十秒を捨てています。
この記事は、標準機能でどこまで行けるか、足りなくなるのはどこか、そしてキーボードから手を離さずに進めるやり方の順に書きます。
標準でできること
- シフトとコマンドと 3 で画面全体、4 で範囲選択。4 のあとスペースを押すとウィンドウ単位で撮れて、影付きで切り出されます。
- この操作にコントロールを足すと、ファイルではなくクリップボードに入ります。貼り付ける先が決まっているなら、こちらのほうがずっと速い。
- シフトとコマンドと 5 でパネルが出て、保存先、タイマー、ポインタを含めるかどうか、画面収録を選べます。
- 撮った直後に右下に出るサムネイルをクリックすると、その場でマークアップに入れます。
- プレビューでは、ツールバーのマーカーのアイコンからマークアップが開きます。スケッチ、図形、線、テキスト、署名、色と線の太さ。
この範囲で片づく用途は多い。四角をひとつ描いて送るだけなら、他の道具を開く理由はありません。
標準が足りなくなるところ
一つ目はモザイクです。プレビューのマークアップに、画像に対するモザイクやぼかしはありません。隠すなら不透明な四角を重ねることになり、そのときは不透明度が本当に 100 パーセントかを毎回確認する必要があります。なお、新しい macOS には PDF 向けの黒塗り機能が用意されていることがありますが、それは PDF の話で、画像に対するモザイクとは別物です。お使いの版で確かめてください。
二つ目は順序です。番号を振る機能がないので、手順を説明する画像を作ろうとするとテキストで 1、2、3 と打つことになります。打つのはできますが、途中の一つを消したときに残りを打ち直すのは手作業です。
三つ目は、線の太さの決まり方です。同じ太さで描いた線が、Retina のフル画面キャプチャと小さなウィンドウの切り抜きとで、まるで違う見た目になります。一連の画像の見た目を揃えたいときに、これは地味に効きます。
四つ目は書き出しです。プレビューでも形式は選べますが、長辺の上限を決めたり、決まった大きさのカンバスに収めたりといった、資料に貼る前提の調整は用意されていません。
キーボードから手を離さない
Mac でこの作業が速くなるかどうかは、道具を切り替えるたびにポインタをツールバーへ運ぶかどうかで決まります。Marka の Mac 版は 12 のツール全部に修飾キーなしの一文字を割り当ててあります。v が選択、c が切り抜き、m が目隠し、a が矢印、r が長方形、o が楕円、l が直線、p がペン、h がマーカー、t が文字、n が番号、s がステッカー。左手はキーボードの上に置いたまま、右手はキャンバスの上から動かしません。これは Mac だけの話で、iPhone と iPad はタッチのツールバーです。
- シフトとコマンドとコントロールと 4 で、必要な範囲をクリップボードへ撮る。
- Marka を開いて貼り付ける。ファイルを開く経路も用意されていますが、クリップボードのほうが速い。
- m を押して、見せなくていいものをなぞって隠す。方式はモザイク、ぼかし、塗りつぶし。無料で使えるのはモザイクです。
- a か r を押して一か所だけ指す。手順なら n で番号を置く。
- c を押して要らない部分を落とす。比率を固定したいときは、自由のほか 1:1、16:9、9:16、4:3、3:4、3:2、2:3 から選べます。
- クリップボードにコピーして、そのまま貼り付け先へ戻る。ファイルが要るときだけ書き出す。
書き出しは PNG、JPEG、HEIC。大きさの目安が選べるほか、決まった寸法のカンバスに収める書き出しもあります。資料の枠に合わせて画像を作り直す作業が、書き出しの側で済みます。
Mac にだけある「機微情報を探す」
Marka の Mac 版には、開いている画像を調べて隠す価値のありそうなものを並べる機能があります。Apple の Vision フレームワークを使い、電話番号、メールアドレス、身分証の番号らしき並び、カード番号のような数字列、顔、URL を候補として出します。処理は全部その Mac の中で行われ、画像も、見つかったものも、どこへも送られません。一覧に表示される番号自体もマスクされています。
大事なのは、これが提案しかしないことです。各候補にチェックボックスがあり、チェックしたものだけが隠されます。勝手に処理はしません。そして必ず取りこぼします。画面の中の手書き文字、画像の中に埋め込まれた文字、見慣れない書式の番号は候補に出ないことがあります。自分で一周見たあとの二周目として使ってください。この機能は Pro に含まれ、iPhone と iPad にはありません。
インストールの前に一つ書いておくと、アプリの表示言語はこのバージョンでは簡体字中国語です。ツールはアイコンで、しかも一文字のショートカットで切り替わるので、実際の作業でメニューを読む場面はほとんどありませんが、日本語の画面が必要なら今のところこのアプリではありません。macOS は 14.0 以降、ダウンロードは 2.4 MB です。
最後にひとつ、忘れやすいこと
Marka はライブラリではなくメモ用紙です。作業中の一枚だけを持っていて、閉じたあとに控えは残しません。長い資料を作っている途中で、加工した画像をアプリの中に置いたまま次の画像に移ることはできない、という意味です。一枚仕上げるたびにクリップボードへコピーするか、ファイルとして書き出してください。これは意図した設計ですが、作業を抱えたまま閉じる前に知っておくべきことです。
よくある質問
Mac の標準機能だけでモザイクをかけられますか。
できません。プレビューのマークアップには画像に対するモザイクやぼかしがなく、隠す手段は不透明な図形を重ねることだけです。新しい macOS には PDF 向けの黒塗りが用意されていることがありますが、それは PDF の話で、画像とは別です。お使いの版で確かめてください。
クリップボードから直接読み込めますか。
読み込めます。シフトとコマンドとコントロールと 4 で範囲をクリップボードへ撮り、Marka に貼り付けるのがいちばん速い経路です。ファイルを開く方法も用意されていますが、ファイルを作らずに済むならそのほうが手数が減ります。仕上げたあともクリップボードへコピーして戻せます。
ツールの切り替えにショートカットはありますか。
あります。Mac 版では 12 のツール全部に修飾キーなしの一文字が割り当ててあり、v 選択、c 切り抜き、m 目隠し、a 矢印、r 長方形、o 楕円、l 直線、p ペン、h マーカー、t 文字、n 番号、s ステッカーです。これは Mac のみで、iPhone と iPad はタッチのツールバーになります。
書き出せる形式は何ですか。
Mac では PNG、JPEG、HEIC です。大きさの目安を選べるほか、決まった寸法のカンバスに収める書き出しもあります。クリップボードへのコピーもできるので、貼り付け先が決まっているならファイルを作らずに終えられます。iPhone と iPad では写真へ PNG で保存するか、共有シートに渡す形になります。
「機微情報を探す」は自動で隠してくれますか。
いいえ。候補を一覧にして出すだけで、チェックしたものだけが隠されます。処理はその Mac の中で完結し、画像も検出結果もどこへも送られません。そして必ず取りこぼすので、自分で一周見たあとの二周目として使ってください。この機能は Pro に含まれ、iPhone と iPad にはありません。
iPhone で買った Pro は Mac でも使えますか。
使えます。App Store の商品は一つで、購入も一度きりです。同じ Apple アカウントでサインインしていれば、iPhone、iPad、Mac のどれでも解除されます。新しい端末でロックされたままに見えるときは購入の復元を押してください。Mac では設定の中に、iPhone と iPad では Pro の画面にあります。
Marka でやってみる
Marka は iPhone・iPad・Mac 用のスクリーンショット注釈アプリです。見せたくないところをなぞってモザイクにし、見せたいところに矢印を置き、手順に番号を振り、投稿先の比率に切り抜いて送る。処理はすべて端末内で完結し、アップロードもアカウントも計測もなく、ダウンロードは 2.4 MB。画像を開く・切り抜き・モザイクブラシ・書き出しは無料で、Pro は 3 機種共通の買い切りです。